大手水産商社を退職しました。古すぎた日本の水産業界

 「新人は始業1時間前には席に着けよ!」

初日に上司からこう告げられ始まった私の苦しくも楽しい商社生活でありましたが、この度4月に退職致しました。

入社当初は無慈悲な退職記事でも書いてやろうと涙を浮かべながら働いていたのですが、やはり何年も一緒に仕事をしていると社内の清濁混じり合った人間模様が実は温かく、そんな感情は消え去ってしまいました。なんだかんだ去り際には皆々からお声がけをいただき、本当にありがたかった…いやー最初の感情はどこにいった…

とまぁ大きな希望を持って入社した会社の退職理由を言えばありがちな労働観のミスマッチ(これがかなり大きい!)及び会社生活で獲得したい能力のギャップです。

なぜ入社したか

なぜ水産商社を選んだかというと小さい頃から魚屋(漁師)になることがずっと夢だったから、本当にそれだけです。水産系のメーカー及び商社からはほぼ内定を頂いていたんですが、水産物”も”扱うメーカーだと採用面接時「水産部門に携われるか」という私の問いに対して「総合職は部門を選べない、バックオフィスもやってもらう」等言われたのに対し、水産専門商社に関しては「当たり前だ、水産商社だぞお前何言ってんだ。俺は先週までアラスカの船上でカニの買い付けをしてたんだぞ!」などいきなり言われまして、私としては「まさにここだ!」と思ったわけです。

水産就活必勝法!?

私には水産関連企業なら必ず内定がもらえる必勝法がありまして、それは卒業アルバムの将来の夢欄を見せることでした。「アルバム見せる→ずっと魚屋になりたかった→なぜ中でも御社なのか」を決めればよかっただけなので、正直全く苦戦しなかったです。水産系志望の方はご参考までに!(参考にならないかも)

卒業アルバムより ※「漁師」の漢字が書けなくて「魚屋」に変更した気も…

単なる自慢!

ちなみに水産商社以外にも誰もが知る大手消費財メーカーと電力系インフラ等の内定を頂いてました。学生人気のある大手企業は練習で胸を借りるつもりで受けたんですが、むしろプレッシャーなく落ち着いて受けれたのが内定につながったのかもしれません。もう一度言いますがこれは単なる自慢です!(正直な話、学生時代は漁業とか一次産業をやりたいなんて言うと周囲のメガバンや大手企業内定組に哀れみの目を向けられることもあったので学生時代はこのエピソードを言うようにしていました。なんという卑しい虚栄心…いやはや就活生よ、産業間で差別意識を持たないでくれと言いたい。こういった一次産業系への悪いイメージはなんとか払拭していきたいですね。)

水産業界にロマンはないのか!?

さらに言えば新人の頃社内でこの内定エピソードを話すと上からは「もったいないことをしたな」「嘘つくなよ!」と言われ、水産にはロマンがあると熱く話せば「そんなもんねーよ」「いずれお前も気づくよ」等の返答を頂き、この時初めて日本の水産業界の疲弊を垣間見たような気もします。※因みにですが私は未だに水産業にはロマンしかないと思ってます。

業務内容は?

主に南米チリでのサーモンの養殖、加工、国内で輸入、販売等サーモンに関わる仕事全般を行っていました。ちなみにサーモン関連で南米には1年以上住んでいました。また一時期マグロ・タコの買い付けも行っていました。ここはあまり深くは言えませんのでざっくりと。御勘弁!

※南米時代のオフィス。海とサーモン養殖場が見渡せる最高の居場所




退職理由⑴ 企業文化とのミスマッチング

圧倒的アナログ信仰

IT化は細々と進んでいるも、やはり水産業界のアナログ信仰は強かった!
まず顧客と対等の関係を築くのは営業の鉄則ですが、水産業界ともなるとその対等がめちゃくちゃ厄介でした。というのは水産関係の顧客には未だに個人のメールアドレスを持たない方もおられ、地方の市場では担当者が高齢なことから全くメールを見ない方も少なくありません。なので電話確認が常になるのですが、当然言った言わないの水掛け論が頻発します。「メールも送りましたよ」なんて言っても「見てねえよ!勝手に送ってくるなよ!」なんて言われることもありました。また、顧客への提案書をエクセルで簡単に作ろうものなら、上から「魚屋らしくねえじゃねえか!もっと手間かけろよ!」と言われ手書きに直すなんてこともありましたね。

果たしてこのままでいいのか…

築地の競りを江戸時代から継承され続ける文化として見学するのならば、それはもう面白いものだと思います(早朝の築地の競りは人気ツアーであり特に外国人人気が非常に高い)。しかし自分自身がこの世界の一員となって、この文化の中で仕事を学んでいくことにある時から違和感を感じるようになりました。amazonフレッシュのサービスが開始され、生鮮品の流通にイノベーションを起こそうといくつかのベンチャーが競い合う中、果たしてこの伝統的文化と共に並走する、いや並歩していては自身の成長が鈍化することは目に見えていました。※そうはいっても築地のマグロ競り人はカッコイイです

無論すごい方はすごい!

水産の未来を憂い、試行錯誤を繰り返している方には本当に頭が上がりません。Twitterでの発信を駆使して魚の様々な魅力を紹介しフォロワー50万を越える地方仲卸の方もいます。本当にすごい!流行りのみかんぶりのようなフルーツ魚ブランドなんかも面白い試みですよね。

しかしやはり「ここにいてはダメかもしれない」と心の中で思うことは多々

今思えば笑い話なのだが、それは社用携帯としてiPhoneが配られた時のこと。
上司に約1時間かけやっとiPhoneの使用方法を説明した後、再び「iPhoneの指紋認証が反応しないから直して欲しい」と相談されたのだが、そのiPhoneをよくよく見ると本来スマホの裏に装着すべきスマホカバーケース(透明)をディスプレイ側に付けていたのだ。これでは指紋認証など反応するわけがない。彼らのプライベート携帯はガラケーだからといって、スマホカバーの付け方から説明しないといけないのかと。果たしてこれからのビジネススキルの基礎を彼らから得るべきなのだろうかと、ふと考えてしまっていた。

古典的なトップダウン

水産業界は基本的に超トップダウンであり、人材の新陳代謝が起こりにくい体質があります。というのも70、80歳でも現役で幅を効かせているような方もこの業界では少なくありません。彼らの世代ではそもそもパソコンを使わず、手でメモをとり足を使って稼ぐことこそが美徳だと信じ込まれていて、部下にも同じようにやることを徹底されています。いわゆる10年修行の寿司職人と同じことを地で行っており「飯炊き3年、握り8年」ならぬ「雑用3年、若手8年」少なくとも10年は若手の修行期間として扱われているようにも感じました。

「お前には10年早い!」

私もよく「10年早い!」と言われていましたが、私の10年上の先輩も未だに「10年早い!」と言われていたりします笑。ちなみに若手が何か提案しようものなら「魚100万尾見てからものを言え」などともよく言われていました。あ、でも今となっては100万尾くらいはもう目にしているのかも。というか今思えば稚魚のふ化場に言ったら100万尾なんて数日でクリアできるな….そういう意味ではないか笑

総イエスマン社会

これはまぁ典型的な日本の会社だとほとんどそうかもしれませんが、社員総イエスマンで、飲みの席でも議論を交えるようなことはほとんどなかったように思います。なぜ社内にはイエスマンしかいないのか?元々議論好きな私としてはこれが社会人になって一番の疑問だったように思います。なので特に相談することもなく若手が初めて上司に伝える「ノー」が、確固たる退職届けだったというパターンもよく目にしました。

退職理由⑵ 獲得したい能力のギャップ

商社生活で獲得できた能力(20代)

水産業界での知識や仕事以外にも、酒の席の立ち振る舞い、ゴルフの段取り、頭の下げ方、南米では会話レベルのスペイン語、また異文化間のビジネスコミュニケーションも学べたのかな?特にサーモンに関しては業界トップクラスのスキルを持っていると自負しています。また典型的な日本企業の社風だったので、社会人としてのマナーは徹底的に叩き込まれました。

逆にマネジメント能力やリーダーシップ等は口に出すのも烏滸がましい程関われなかったかもしれません。どのチームにいてもあと5年は常に最年少としての役振る舞いが求められていたと思います。

これから獲得したい能力

ブランディング、マーケティング、リーダーシップ、マネジメント能力がほしい。というかある程度裁量を持ってがむしゃらに働きたい!今はただそれだけなのかもしれません。

水産業界を盛り上げたい!だけど…

将来的に水産業界(1次産業界)で活躍するには、ただ魚の扱いに詳しい魚のプロではなく、分野横断的なスキルが必要になると思っています。例えば水産物を主軸においた「八面六臂株式会社」「株式会社フーディソン」等のベンチャーが今活躍されていますが、創業者は共にベンチャー上がりで、水産業に関して全くの未経験ながら会社を起し果敢に経営されています。将来的に私も水産業の成長には貢献したい!だからこそ慣れ親しんだ水産業界以外で一度がむしゃらに働いてみようとか考えています。

チリの養殖場と海上オフィス(これ船じゃないよ!)

まとめ

それでも一次産業は面白い!

いろいろ書きましたが、やっぱり水産業を含め1次産業は本当に面白い!漁業林業農業プレイヤーもいいけど彼らのフォローができる商社もまた面白かった!いいよ一次産業商社!水産農業系就活生には本当におすすめです!以前書いた記事も載せときます!

旅・冒険好きのあなたに一次産業系商社の就職を勧める5つの理由! | Salmon Garage!!

結局は「音楽性の違い」

新進気鋭のバンド、サカナクションに憧れて業界入りしたのだけれども、所属した事務所は伝統ある「北の漁場」を歌い続ける北島三郎事務所だったわけです。サカナクションの人気もさることながら、さぶちゃんファンもまだまだ顕在。どちらも素晴らしいアーティストですが、ただ私は前者に憧れているのです。誰にとっても良い会社はないし、その逆もまた然り!とあるベンチャーで月に1日しか休まず生き生き働いている友人を見ててもそう思います。

そこに獲物がいなければ漁場を変えろ!

これは漁師だけでなく我々皆に言えることだと思っています。獲物が取れないと嘆いてばかりいても仕方がありません。お金・スキル・人脈・安定、獲得したいものは人それぞれだと思いますが、獲物に応じて適切な漁場に出かけていきましょう!海に繰り出す漁師はかっこいいものです!

採用担当者様!今なら私の職業欄、空いてますよ!(切実)

ということで晴れて無職になった私ですが、とりあえず転職活動を始めていこうと思います!未経験分野でも泥臭く(魚臭く?)攻めていこうと思っています!いやしかしサーモンに偏重した私の経歴を拾ってくれる企業が存在するのかどうか…いやいや、がんばれジョージ….!!

ちなみに…

意外に私若いです(20代)!

カズレーザーと同じくらいの学歴あります!

スペイン語そこそこ喋れます!英語もいけます!

チリの最果で一人、サーモンビジネス回す根性あります!

ということで、いろんな意味でHELP ME!!www.amazon.co.jp ジョージのamazonほしいもの(鮭)リスト

あぁ狭い業界なんで元上司に見つかったら殺されるかなー。というかこのページは上司のガラケーではどんな感じで表示されるんだろ。水産記事を書くならガラケーレスポンシブルとか考えたほうがいいのだろうか。。。

とまぁ以上!
これから心機一転別世界で頑張っていこうと思います!

ここまで読んで頂き本当にありがとうございました!!

何か御連絡等ございましたらば下記アドレスまで!
salmongarage.com@gmail.com
ご連絡お待ちしております。
ジョージ・ホルヘ