みなさま、あけましておめでとうございマス!
今年もサーモン全開でいきますので、よろしくお願いしマス(サケ)!
サーモンおせち縁起良すぎマス(サケ)!#サーモン地位向上委員会 pic.twitter.com/IsaeB3GJYe
— サーモン中尾@全日本サーモン協会 (@salmongarage) January 2, 2018
ということで、本題はなにかと言いますと、そうです…
コレですよ!コレ!!
マジかぁ、サーモン好きなのに
チリ産のサケは抗生物質まみれで超耐性菌「スーパーバグ」の温床になる危険性 – GIGAZINE https://t.co/E6kwZUpfg5
— プライム (@jetstreamer71) January 16, 2018
チリ産のサケは抗生物質まみれで超耐性菌「スーパーバグ」の温床になる危険性-Gigazine
今年一発目のサーモンニュースがきたかと思えば
またでたよ…サーモン煽り記事。。。
抗生物質まみれってなんだよ、地元のチリ人はサーモンを一切食べないってなんなんだよ…!!!
ということでこれに関して簡単に説明していきましょう!
(一応ですが私はチリのサーモン養殖会社で約500日間働いていました)
チリ水産庁の厳格な抗生物質管理
まずチリで養殖サーモンに使用される抗生物質には経口投与のものとインジェクション(注射)のものがあります。これらの抗生物質は、養殖場の担当魚医による診断書と処方箋がないと購入することができませんし、薬剤の使用明細や使用後の効果判定、在庫量の記録等をチリ水産庁へ報告することも義務付けられています。チリの養殖業は組織としての規模が大きく、養殖会社ごと専属魚医がチームを組んで死因の特定や症状の調査・記録を行ってます。日本の小規模養殖業者とは取り組みスタイルが全く違い、比べ物にならない程管理が徹底されています。
さらに!養殖場には水産庁の抜き打ち訪問が頻繁にあり、毎回いくつかのサーモンがサンプリングされ、魚の健康状態や薬品に関するの検査が行われます。私が現地にいた時も養殖場・加工場共に抜き打ち検査があり、何回も立ち会ったのですが、マジでいきなり訪問が決まってその日のスケジュール狂うからこれには中々ビビるよね。。。拒否権はもちろんなし!
さらにさらに!サーモンの水揚には許可書が必要であり、それを申請するためには生簀から数尾サンプリングし、チリ水産庁認可機関で抗生物質の残留検査を行わないといけません。抜き打ち検査時の検査結果もこの時併せて提出が必要です。
さらにさらにさらに!チリ水産庁は抗生物質の種類、残留基準が輸出先の国に適合する事を事前に確認しており、日本としても、輸入する際に基準に適合している事の確認検査を行っております。ランダムでのサンプリング検査もありますし、それに加えて企業ごとに自主検査を行っているところがほとんどです。
長々とすいませんが実際にはこのような幾重にも渡る安全性確保への対策が施されており、この現場を目の当たりにしている私からすると、名前も出さない人が適当に文書を切り貼りして作る「抗生物質まみれ」と謳った記事を見ると、中々困惑を隠せません。
「地元チリの人はサーモンを一切食べない」も全くの嘘。
撮影地はサーモン養殖の一大拠点チリ南部のPuertoMontt
チリに行ったら思う存分おいしいサーモンを地元の人と一緒に食べてください!
チリでサーモンを食べれない場所はほとんどないのでご安心を!
あえて地元の人が食べない理由をあげるとするならば、現地でサーモンは肉に比べても非常に高価だからだと思います。スーパーでは肉の倍以上の値段ですし、レストランでもチリビーフのステーキ500gとサーモンステーキは殆ど同じ価格帯で提供されていました。またサーモンは国際商材なんでチリ国内でなく国外に流通していきます。元々南米の方って魚より肉を好みますしね!
あまりにもツッコミどころが多すぎるガセ記事。
抗生物質の残留量なんかの数字もチリ農水省の数字は無視して環境保護団体の一方的な数字ベースの話だし、そもそも「地元のチリ人は決してチリ産のサケを食べないそうです」って、ガセもいいとこだろ。どのスーパー行っても鮭店頭に並んでる状況は何よ? https://t.co/zCmoM2MpNU— ラウタ郎 (@lautarogodoy) January 16, 2018
詳しくは以前書いた記事でも紹介しています。
チリでサーモンは大人気の高級魚!サーモン記事のここがデマだ!
アメリカでもチリ産サーモン排除の動き?
まるでアメリカでもチリのサーモンは食べないという口ぶりで今回の文書内では書かれていますが、チリで生産されたサーモンの一番の輸出先はアメリカです。Exportaciones por Mercado -Salmon chile
高級スーパーwhole foodsや会員制スーパーのCostcoでチリ産サーモンを扱わないのは、チリ産サーモンの風評を嫌ったブランド戦略であり、これはアメリカマーケット全体でみれば、ごくごく一部の動きだと考えます。
過剰なゼロリスクを求める消費者達
チリ産サーモンは限りなく安心で安全な食品であり、私としても水産物の中ではトップレベルの品質を誇っていると思ってます。(国産養殖ものに比べてもはるかに管理基準が厳しいので)
それでも外のものを体内に入れる「食べるという行為」に対して、「体に一切影響がないのか!」「全く問題がないのか!」といった100%安全かという要求には答えることはできないのです。
そもそもリスクゼロの食品など存在し得ない!
ゼロリスクは現実的でなく、社会的に許容できる限度までリスクを引き下げることが目標だと考えられるようになってきたわけです。この考え方を私たちはもっと理解していかないといけないということが1点かと思います。リスクをゼロにすることは、その原因である危害因子をゼロにすることになります。危害因子がゼロにできたら、リスクもゼロになる。しかし、危害因子がゼロにできるかといえば、ほとんどのものがゼロにできないのです。消費者庁-「食品と放射能について、知りたいこと、伝えたいこと」より抜粋
もし徹底管理されたサーモンですら危険だから食べないというのならば、何を餌として摂取しているかわからない天然の魚こそ決して食べるべきではないでしょう。水も飲みすぎれば中毒を引き起こすものです。何事もバランスよく摂取したいものですね。先月銀杏を食べ過ぎて体調崩した私が言えることでもないですがね笑
銀杏中毒になって今日一日中悶絶していました(*´∀`*)(マジ)何でも偏食、食べ過ぎには注意しましょう! #吐き気でトイレから出られない pic.twitter.com/hJ0V5AqZ32
— サーモン中尾@全日本サーモン協会 (@salmongarage) December 16, 2017
ウソをウソと見抜ける人でないとサーモンを食べることは難しい
前述のサーモン記事を書かれたGIGAZINEさんも記事でこのように書かれています。
この追跡調査からわかるのは、情報の真偽がどうであれ、人々は話題になることを拡散するということ。そのため、面白みのない真実よりも、面白いウソの方が拡散していくというわけです。
なぜネット上では「ウソ」が真実よりも拡散されてしまうのか?
面白みのない真実よりも、面白い嘘の方が拡散される
今回を例にとっても「サーモン養殖場で働く人の安心安全に向けた情熱」ではなく「地球の裏側では地元の人は決して食べない抗生物質まみれのサーモンを作っている」といった記事のほうが残念ながら嘘でも拡散されてしまうのである。
私はチリの養殖産業に直接の利害関係はないですし、本当に口にしてはいけないものならば、それはその通りに伝えます(ちなみに銀杏の食べ過ぎはマジでよくない…)
しかし現地で彼らと一緒に汗を流した身としてこれだけは言えます!
サーモンが大好きでたまらないそこのあなた!
チリ産サーモンは”極めて”安全な魚です!
他の食品同様、これからも安心して食べてください!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!